どうやら、「マイナス×マイナス=プラス」はルールとして覚えているようでした。
そこで、分かり易い説明を考えてみたが思いつかず、また時間もなく返答できなかったため、後で上手な説明はないかとGoogle検索してみると、2通りの説明がありました。
- 何かに例えて文章で説明
- 数式を用いて数学的に説明
この2つを比較して「何かに例えて文章で説明」の方が読み難く感じました。
また、理解の難易度という観点では、どちらも同じような気がしました。
そこで、ここでは「なぜ、マイナス×マイナス=プラスとなるのか」という問いに対して、「数式を用いて数学的に説明」してみるます。
ここからは、掛け算「×」を「⋅」と記述し、整数の世界で「マイナス×マイナス=プラス」となることを見ていきます。
ちなみに、整数とは「…, -2, -1, 0 , 1, 2, …」のような数のことです。
整数の性質
整数は次の性質を持ちます(0,1,a,b,cは整数)。
- a⋅0 = 0⋅a = 0
- a⋅1 = 1⋅a = a
- a + 0 = 0 + a = a
- a + (-a) = a – a = (-a) + a = -a + a = 0
- a⋅(b + c) = a⋅b + a⋅c
- a,bが整数ならばa⋅bも整数
これらを言い換えると、次のようになります。
- 任意の整数に対して、0を掛けると、ゼロになる
- 任意の整数に対して、1を掛けても、変化なし
- 任意の整数に対して、0を加えても、変化なし
- 任意の整数に対して、その整数にマイナスを掛けた数を加えると、ゼロになる
- 2つの任意の整数に対して、その2つの整数を加えた後ある整数を掛けた数と、2つの整数それぞれにある整数を掛けた数を加えた数とは一致する
- a,bが整数ならばa⋅bも整数である
証明
それでは、次が成り立つことを示します。
(-1)⋅(-1) = 1
性質1から次が成り立つ。
(-1)⋅0 = 0
性質4から左辺の0を1+(-1)で置き換える。
(-1)⋅(1 + (-1)) = 0
左辺に性質5を適用する。
(-1)⋅1 + (-1)⋅(-1) = 0
性質2から(-1)⋅1を(-1)で置き換える。
(-1) + (-1)⋅(-1) = 0
両辺に1を加える。
1 + (-1) + (-1)⋅(-1) = 1 + 0
左辺に性質4、右辺に性質3をそれぞれ適用する。
0 + (-1)⋅(-1) = 1
性質6から (-1)⋅(-1) も整数となるので、左辺に性質3を適用する。
(-1)⋅(-1) = 1
となり示された。
終わりに
分かり難かったでしょうか。そうならば是非、紙とペンを用意して実際にゆっくりと一つ一つ書き写してみてください。
注意して欲しいこととして、いま示したことは「(-1)⋅(-1) = 1」が成り立つということだけです。
「マイナスの整数×マイナスの整数=プラスの整数」となることが示されたわけではありません。
これを証明する真にすばらしい方法を思いついたが、これを書くには時間が少なすぎるため省略します。
是非この拡張を目の前に紙とペンを用意して、チャレンジしてみてください。
きっと、良い頭の体操になるはずと信じています。